甫木元空 「すいっち」
およそ1年前から生まれ育った埼玉県から祖父の住む窪川へと拠点を移し、映画制作を続けている甫木元空[ほきもとそら]は新荘小学校で行ったワークショップを起点として須崎市内各地を撮影し、短編作品を作りました。
1895年、ルミエール兄弟が世界で初めて撮った映画は工場の出入り口にカメラを据え、その日の仕事を終えた労働者が建物から出てくる様子を淡々と撮影したものでした。そこに写されていたのはカメラが存在しなかった時代の、撮られていることを意識しない人々の全く自然な振る舞いでした。
映画誕生から124年を経た今、スマートフォンを誰もが手にし、撮影が特別な行為では無くなった時代の子供たちもまた、まるでカメラが透明であるかのように自然な姿を見せてくれています。
甫木元は須崎市内の小学校やセメント工場の日常を、作為なく、その「場」にカメラを置き、佇むように撮影しながら、本展のテーマである「そこに生き、そこに在る」ものを捉えようとしています。
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